2017年12月6日水曜日

Chateau Montana Banyuls dels Aspres

Chateau Montana
シャトーモンタナ試飲後記

先日11月25日に行いましたシャトーモンタナの試飲会。当日は当主の娘、セリーヌさんと現地と日本をビデオチャットで繋いでのワイン説明もありご参加いただいた皆様と楽しい時間を過ごすことができました。当日ご参加いただいた皆様からも味わいに関して様々なご意見を聞かせていただきとても参考になりました。皆様のご意見は後日セリーヌさんにもお伝えしておきました。

当日お越しいただいた皆様へはご試飲いただいたワインの補足として。都合がつかずお越しになれなかった皆様へは参考にしていただけるように私自身の試飲会後記を書かせていただきます。


<シャトーモンタナのご紹介>
シャトーモンタナはスペイン国境までわずか15キロの場所に位置するバニュルス・デル・アスプレ(Banyuls dels Aspres)にあります。ワインのエリアとしてはルーション地方になります。その中でも南よりになりスペインに近い場所です。

澄み切った碧い空の中に雄大なピレネー山脈を見渡せる壮観な土地。年間晴天日が300日を誇る太陽に愛される土地です。昼間の豊かな太陽の恵みを受け、他の産地より完熟が進みますが山岳地を背後に持っている関係で夜間の冷え込みがあります。そのため昼夜の寒暖差が生まれバランスの良い葡萄が収穫できます。

シャトーモンタナは現在、当主のパトリック・ソーレルさんと娘のセリーヌさんが中心に家族経営を行っています。19世紀からあった古いドメーヌを1996年に買い取り完全に修復しました。土地のスタイルを継承しつつもモダンでオリジナリティーのあるワインを生産しています。

主要品種はグルナッシュ、シラー、ムールヴェドル、カリニャン、ミュスカなど地葡萄とカベルネやメルローなどボルドー系の品種も作付けしています。パトリックさんは伝統を重んじるところもありながらアーティストのような側面を持ち独自のアプローチでワインを作っている印象です。


モンタナのワインは総じてスタイリッシュでバランス感に優れた印象を持ちます。やもすると野暮ったくなってしまうこの地のワインですが、味わいや香りの特徴を引き出しつつ見事に全体のバランスが保たれています。例えるなら「あんばい」の見事さとでも言えるでしょうか。これは完全にセンスの問題だと思います。出過ぎず引き過ぎず、言葉で言うと簡単ですが…見事です!




<ワインのご紹介&私の感想> ※当日試飲した順番で書かせていただきます。

1)I.G.P Cotes Catalanes Le Temps du Rose 2016 (ル・タン・デュ・ロゼ)


葡萄品種:シラー、グルナッシュ

南には欠かせないロゼワイン。タップリと熟したシラー、グルナッシュの黒葡萄からセニエ方式で作られるやや濃い目の色合いのロゼです。熟した葡萄から作られていることが香りから想像できるほどコルクを開けた時点で華やかで豊かな香りが一杯に広がります。いちごやフランボワーズ系の風味なのですがマンゴーやメロンなどの熟した果実が放つ厚みのある香りがついてきます。
アセロラ、ミント、クランベリーなどやや酸味を感じる風味もありとてもそそられます。

最初の一口から感じられる完熟感と豊かなボディー「旨味」と「濃さ」がしっかりと感じられます。香りから想像した通り厚みのある味わいながら飲み込んだ後に残る爽やかなミント風味とほのかに残る酸味が味わいの輪郭をしっかりと主張してきます。この厚みある味わいと酸味、爽やかさのバランスが見事に備わっていて飲み飽きません。飲み込んだ後数十秒は口の中に風味、味わいともにしっかりと残ります。果汁が充実している証拠ですね。

やや冷やし目にして食前酒としてもいいと思われます。しっかりしたボディーもコシありますからお料理と一緒に楽しむこともできます。例えばマヨネーズ系のドレッシングをかけたサラダにクレープフルーツやオレンジを添え上に胡桃やアーモンドを加えるとより一層の相性が出てくるように思います。肉類でも鶏や豚であれば問題なく合わせられます。チーズであればシェーブル系のやや酸味のあるものやペコリーノと生ハムを合わせたりすれば一層ワインが進みそうです。


2)Cotes du Roussillon L’astre Blanc 2015 (アストル・ブラン)
葡萄品種:グルナッシュ・ブラン、グルナッシュ・グリ



このワインも南仏を代表する葡萄品種でありこの地の気候によく合うグルナッシュ・ブランとグルナッシュ・グリで作られます。この品種は白葡萄品種の中では糖度が高くワインにした時にアルコールも上がるため、しっかりした厚みとコクが出ます。また最も熟成に向く品種でもあります。このワインは蔵の中でも葡萄の樹齢が古い実が使われます。そのためエキス分がしっかりと詰まった果汁が得られます。低温でじっくりと発酵、醸造しフレンチオークの新樽で熟成させます。1日一回樽に櫂を入れオリと果汁を混ぜ合わせ深い旨味を引き出していきます。

メロン、スイカなど瓜科の香り、イーストの香りもあります。香りは涼やかでシャープな印象を受けますが時間の経過ともに甘みを感じる蜜のような香りが出てきます。今はまだ熟成途上のためセージやタラゴンなどのハーブの香りも香ってきます。

最初の一口目はリッチさも感じますがまだ若さを感じる印象です。熟してくるともう少しトロリとした粘性を感じ、舌にまとわりつく感じになるのですがまだそこまでは熟していません。現段階では青リンゴのような穏やかでフレッシュな酸味が主役の役割をしていて総体的に爽やかな印象です。色合いもやや緑ががっていて透明感のあるクリーンな印象です。もちろん今飲んでも美味しいのですが熟れてきたら別世界を垣間見せてくれるのもこの品種ならではです。楽しみです。

地元では海老、蟹などと相性が良いとされていますが私感では寒鱈、アイナメ、キンキなどふわりとした白身の魚が最も合うと思います。それらを蒸し焼きにしてオリーブオイル、ワインビネガードライトマト、パセリ、蜂蜜、塩・胡椒で作ったドレッシングをかけて合わせると良いかと…
チーズであればウォッシュタイプのチーズに蜂蜜をかけてドライフルーツと共に


3)Cotes du Roussillon Le Rouge Eternel 2015 (ル・ルージュ・エタルネル)
葡萄品種:シラー、グルナッシュ、カリニャン

ガリーグの香りをまとった南仏らしい一本。このエリアでは大事にされている葡萄品種カリニャンを使います。もとはアラゴン(現在で言うとスペイン、カタロニア州)原産の品種です。フランス南部、地中海沿岸全域に持ち込まれ広まった品種です。農学的にも気候的にも地中海性気候にマッチしたため広く栽培されてきました。しかしカリニャンは豊産型の品種のため良質なワインを作るためには厳しい剪定を行い収穫量を絞らないと品質が上がりません。

このカリニャンで高品質なワインを作っている蔵元では皆「高樹齢」「低収穫量」が必須の条件としてあげています。そうした条件下で作られたワインはハーブやスパイスの香りを持ち、穏やかな酸味、柔らかいタンニンとシルキーな舌触りがあり、その独自性の高さから癖になる味わいとなります。

このワインにも例に漏れず豊なアロマ(ブラックベリー、ブラックチェリー、プルーンなど)が感じられ鼻腔をくすぐります。天草、ドライイチジクの風味も感じられます。抜栓後の時間の経過とともにより豊に大きく香りが増しイチジクジャムのような甘やかな風味も出てきます。柔らかく滑らかなタンニンが飲み口をスムーズにしてくれて飲みやすい印象です。熟成するとさらに滑らかさが増し甘み感を増した香りが歓喜を与えてくれるほど味覚を捉えてきます。

お料理ならこの香に寄り添うものがオススメです。南仏名物のタプナードやハーブで一晩マリネした羊肉のグリエにバジルのソースと生のイチジクを添えた一品。チーズであれば地元のペラルドンやロックフォールに黒胡椒と蜂蜜をかけたものなどが相性がよろしいかと思われます。


4)I.G.P Cotes Catalanes La Soif des Hommes 2015 (ラ・ソワフ・デ・ゾム)
葡萄品種:メルロー、カベルネ・ソーヴィニヨン

世界中で栽培されるボルドー系の品種、メルローとカベルネ・ソーヴィニヨンで作られます。そんな品種でも「年間晴天日300日の土地で作るとこうなるのか」と思わせる一本です。この品種の一大産地はボルドー地方でカベルネ・ソーヴィニヨンはその代表格です。しかし同じ葡萄品種を使っても気候帯が違う場所で育つと出来上がるワインの味わいも大きく違ってきます。

ボルドー地方は大西洋の影響を受け比較的湿度の高い海洋性気候で秋が長く穏やか。一方ラングドック・ルーション地方は非常に乾燥していて天候が年間を通じ安定している温暖な地中海性気候のため果物がより熟する傾向にあります。また乾燥しているため葡萄の病気にかかるリスクがほとんどなく十分な熟成を待って収穫できます。カベルネは皮が厚く晩熟型の品種であるため十分に熟するのを待って収穫されます。またワインになった後も強烈なタンニンからくる渋み成分があり瓶詰後もしっかりと熟成させてからでないと本来の味わいが堪能できません。

今までラングドック・ルーション地方のカベルネを使ったワインを何度も飲んできましたがどれも熟していて角の取れた柔らかなタンニンで渋みを感じず飲め、さらに渋みがコクになって豊かなボディーを作り出しているといった印象です。

このワインも深い色合いにも表れているしっかりとしたタンニンはありながら柔らかな飲み口と充実した果実味がありよく熟した印象が残ります。スミレやカシスの香り、キノコ類の香りもあります。アニス、丁子のニュアンスが加わってきます。そのままワインだけでも飲めますが豊富なタンニン分を中和してくれる動物性の油脂分が欲しくなります。サーロインステーキ牛脂分や牛スジの煮込みなどのゼラチン質も欲しくなります。キノコ類をバター、牛脂でソテーし塩、黒胡椒、バルサミコ酢で和えた一皿など。チーズであれば油脂分の強いブリヤ・サバランやブリー・ド・モーなどにアニスかシナモンのパウダーを添えると相性がよろしいかと思われます。


5)I.G.P Cotes Catalanes La Fontaine des Demoiselles 2015 (ラ・フォンテーヌ・デ・デモワーゼル)
葡萄品種:カベルネ・ソーヴィニヨン

カベルネ・ソーヴィニヨン100%で仕込んだワイン。(ラ・ソワフ・デ・ゾム)同様、完熟感があり充実した味わい。ただこちらのワインはカベルネ・ソーヴィニヨンだけなのでよりストレートにそれを感じることができます。私が過去に飲んできたカベルネの中でおそらく一番強烈で圧巻な香りがあります。かなり煮込んだソースのような凝縮した味わいと共に香りの「濃さ」が強烈に残ります。この味わいはこの気候ならではなのでしょうね。

モンタナの畑は幾つかの区画がありそれぞれの土壌特性に合わせて様々な品種を作付けしています。このカベルネは比較的穏やかな斜面の石灰粘土質の土壌に植えられていますが(写真)見てわかるようにものすごく乾燥している畑です。そのため葡萄の根は水分を求め地中深く根を張ります。つる科の植物は乾燥に強いのですがこの状況で葡萄の樹は飢餓状態に追い込まれることによって、植物が本来持っている力を最大限に出してきます。そのため通常よりも多くの養分、エキスを持つことになるそうです。

この圧倒的な香りと充実した味わいの元は他の産地より養分、エキス分が多い事が要因だと感じます。カシスジャム、コーヒー、アニス、ナツメグの香りもあります。香りが開いていくとバニラや燻製の香りもしてきます。インクのような深い黒系の色合いがリッチなタンニンを感じさせます。アルコールの粘性はそれほどありませんがタンニンとエキス分の濃さがダイレクトに舌を捉えます。飲んだ後に残る甘み感が充実した果汁を想像させます。長い余韻があります。牛や鶏の赤ワイン煮込みなど合わせるとよろしいかと。その際はナツメグやアニス、丁子などスパイスを効かせるとより一層寄り添うとおもいます。チーズであればコンテやパルミジャーノなど熟成して「旨味」があるものにパルサミコと蜂蜜で作ったソースをかけると相性がよろしいかとおもいます。


6)Cotes du Roussillon Silencio 2015 (シレンシオ)
葡萄品種:シラー、グルナッシュ、カリニャン

モンタナのトップキュヴェ、シレンシオ(スペイン語で沈黙の意)パトリックさんが考える最高のスタイルを形にしたワインだそうで「完璧なワインは沈黙して飲む」ということから名付けられたそうです。言葉はいらないってことですかね?そんな意味を知ってまで説明すると怒られそうですが私の仕事なので解説させていただきます。

やはりこのトップキュヴェはモンタナを代表するワインとしてフランス国内のみならず様々な国、場所で高い評価を得ています。そんな蔵を代表するワインはやはりカリニャンで作ります。これぞ王道です。所有する畑の中で特に高樹齢のわずかなカリニャンにシラーとグルナッシュを加えます。味わいの骨格をシラーとグルナッシュが作りそこにカリニャンのキャラクターが乗ったイメージです。主役はやはりカリニャン。少量限定ワインです。

熟した葡萄を丁寧に手摘みし、完熟した葡萄だけを使います。20~30日間の長い醸し作業でゆっくりと色と味わい香り、エキス分を引き出していきます。その後フレンチオークの新樽でゆっくりと熟成させ調和を取っていきます。使われる樽にもこだわりがるようです。さらにセラーのどこで寝かせるかも大事だとか。光量も温度、湿度も一定に保たれたモダンなセラーでゆっくりと熟成させていきます。

カリニャンのスパイシーな香り。黒オリーブ、カカオなどの香り。新樽に由来するバニラやオークの香りもあります。濃い目の色合いはキラキラと輝きがあります。樽熟でこなれて角が取れた感じが外観からも見て取れます。濃い目の味わいではありますがキャラクターがはっきりと感じ取れる繊細な飲み口。どうすればこうなるかと思うほどシルキーで柔かな口当たりは感動さえ覚えます。穏やかながらカリニャンからくる優しい酸味が全体を引き締めトータルバランスを優れたものにしています。アルコール分も高く粘性、コシも十分にあるのですがそれを感じさせない見事なバランス感です。私感ですがこの地の赤ワインでも完成度が抜群に高いと思います。

パトリックさんの言うように「沈黙」して飲みたいのですが美味しすぎて無理ですね!繊細で芯の旨味のある料理と合わせたいですね。鴨胸肉のロースト、じっくりローストして肉汁を落ち着かせて身のまわりにエピス(各種ハーブのパウダーなど)を塗り、カマルグの塩、オリーブオイルをかけて旨味同士をぶつけても面白いと思います。チーズであれば上質なシェーブルにオリーブオイルをかけてエスプレッソの粉を少し振りかけると相性がよろしいかと思います。


2017年5月25日木曜日

Nuances de la Catalogne originale

スペインまでわずか数キロ、ルーションの中でも南に位置するバニュルス・デル・アスプレに行ってきました。建物の雰囲気や景観、流れる風までもがよりカタロニア感が漂います。ある方のご紹介で訪れた蔵元ですがあいにくオーナーのお父さんが留守で代わりに娘のセリーヌさんが対応してくれました。


セリーヌさん普段から蔵元のお手伝いをされているようで蔵の特徴やらワインの説明やらは全く問題ありません。このパターンは前にも何度か見てきたのですがお父さんを尊敬していて尊重している感がセリーヌさんからも感じられました。親を尊敬して手助けをする、良い親子関係だと思います。

ワインは赤、白、ロゼ、甘口と数種類作っていますがここのワインはアート感満載です。言葉で伝えるのは難しいのですがアーティステックなワイン作りとでも言ううのでしょうか一本一本から感じられる作品的な印象を受けます。もちろんどれも美味なのですがそれ以上のエクストラ感があります。じっくり噛み締めながら飲みたい味わいです。

葡萄畑は小高い山々のアスプレの周りに広がっていて粘土質の土壌で非常に乾燥している気候、日射も強くモーリーほど強烈ではありませんが風もあります。カリニャンを始め南仏系の品種とカベルネやシャルドネなども植えています。ここで育つカベルネ100%で作ったワインを試飲したのですがカベルネでこんな味わいが出るのかとカベルネの新たな側面を発見した感じでした。とにかく香りが圧巻でした。


カリニャンの古いやつから作った赤もカリニャンの良さを存分に引き出し、特徴が生かされている味わいに仕上がってました。試飲の残りをもらってホテルで飲み直してみましたが重すぎず軽すぎず華やかな香りもあり、フレッシュ感も併せ持ちます。どやったらこんなワイン作れるんでしょう?素晴らしいです。

蔵には古い耕作道具などを展示してる小さなミュージアムも併設していて中にはアンティークのお宝もあるそうな。やっぱりアーティスト体質なのでしょうか。


まだ残念ながらワインのラベルはお見せできないのですが今年の輸入を検討しています。決してスペイン風ではありませんが独特な特徴のあるワインです。まさにカタロニアのニュアンスでしょうか。


それでは皆さま
a la prochaine fois !






2017年5月24日水曜日

Montagnes Rocheuses et vent fort...

16日10時にモンペリエの到着し、すぐに南へ移動しました。今回最初の訪問地は前回行けなかったルーション地方です。スペインにもほど近くフランスでも異国情緒(私にとってはフランスも異国ですが)漂う独特な土地柄でもあります。

何といってもこのルーション地方はピレネー山脈に代表される高い岩山の山脈に囲まれた独特の景観を持ちます。この岩山とそれがもたらす強い風がここの特徴を作り出すことになります。


この岩山の麓に葡萄畑が広がりますが畑まで蔵のある街からは四駆でガンガン山を登らないとたどり着きません。畑も起伏が激しく、なだらかに見える畑でも高低差がかなりあります。おまけに1200〜1300m位の岩山から吹き下ろす風がしょっちゅう吹いているのでここでの作業は本当に大変です。

この風に対応するためこのエリアの葡萄の樹はなるべく低く仕立てられます。この低い葡萄畑の景観もこの産地ならではでなかなかお目にかかれない姿です。


最初に向かったのはモーリーと言う地域でミュスカやグルナッシュを使った甘口ワインの産地としても有名な産地です。モーリーは写真の岩山の真ん中で北がオード県(Aude)、南がピレネー・オリエンタル県(Pyrénées-Orientales)に分かれます。そして岩山の中心にはケリビュス城(Château de Quéribus)がありとても印象的な場所です。


ここの土壌は特徴的でシストと呼ばれ、泥岩が長い年月で押し固められたスレート粘板岩でしかもシスト・ノワールと呼ばれる黒いシストなのが特徴です。このモーリーも含めルーション地方は南仏の中でも特に晴天に恵まれる土地なので葡萄がよく熟します。たっぷりと陽を浴び完熟した葡萄からは深みのあるしっかりとした赤ワインが作られます。

それにしても風が強いです。この風のおかげで日中の高い気温が畑に停滞せずに葡萄の熟成にとっての適温を保ってくれます。まるで自然の扇風機のようです。

先に書きましたがモーリーは甘口ワインがとても有名なのですが普通のワインも作っていて気候と土壌による独自性のある味わいのワインが産出されます。意外に思われるかもしれませんがこの地の白、ロゼワインはフレッシュでフルーティー、爽やかな飲み口が印象的な辛口ワインです。赤ワインは作り方にもよりますが総体的にしっかりとした色合いを持つ深いコクのある味わいです。

ちなみにグルナッシュから作られる甘口の赤ワインはカカオの香りがありチョコレートやチョコレートを使ったデザートとよく合います。

作り手曰く、甘い香りを持つ葉巻との相性もいいんだとか...今度試してみよう!

それでは皆さま
a la prochaine fois !







2017年5月15日月曜日

Je vais aller en Sud de France.

皆さま本日5月15日〜24日まで買い付けに行ってまいります。場所はもちろんラングドック、ルーションです。不在中「ラ・カーブ・イデアル」は変則的な時間帯と内容で営業致します。皆様にはご迷惑をおかけいたしますが何卒ご了承の程宜しくお願い致します。


決して遊びに行くわけではございません。

それでは皆さま
a la prochaine fois !



2017年5月2日火曜日

La saison à venir pour vin rosé!

5月に入り本格的な春の訪れを感じます。この季節、一年で一番好きな時期です。この暖かな気候のもとで飲みたいワインは間違いなくロゼワインではないでしょうか。キリッと冷やして爽やかな酸味と豊かな風味を味わいながら過ごす時間は格別です。

やはりロゼワインは自然な環境が似合います。できれば景色の良い外で楽しみたいワインです。私はフランスに買い付けに行った際必ず海の見える場所で夕方頃このロゼワインを楽しみます。何とも贅沢でゆったりした時間を堪能できます。


今回この季節にピッタリなロゼワインについて少しお話しさせていただきます。ロゼワインは日本ではあまりポピュラーではない上に「質が落ちる」「甘そう」などと間違ったイメージを持たれている方が多々いらっしゃいますが、南仏では最もポピュラーで生産量、消費量共にトップなんです。南仏は気候的にもロゼと相性が良い土地柄なのでわかる気がします。


ロゼワインは製法や葡萄品種によって様々な色合いや味わいがあります。一概にロゼワインを定義できないのですが製法で言うと大きく分けて2つあります。

一つはプレス製法といいますがこれは原料の黒葡萄を皮ごと絞って皮の成分と淡い色合いを引き出す作り方です。ほのかな色合いと柔らかい風味が特徴のロゼワインになります。

もう一つの製法がセニエ製法(saignee)といいます。これは黒葡萄を破砕し絞った果汁に葡萄の果皮を一緒に漬け込み果汁に皮から出る成分(主に旨味と芳香成分、色素など)を果汁に取り込む作り方です。この果皮を漬け込む時間によって色合いが変わってきます。長くつければより濃い色合いに、短ければ淡い色合いに仕上がります。時間は作りたいワインの味わいによって各生産者毎に違います。しっかりとした色合いと風味、深いコクがあるロゼワインに仕上がります。

このセニエ製法(saignee)で作られるロゼワインは手間暇がかかりますがその分風味や味わいにコクが出て上質なロゼワインが出来上がります。

しかし全てセニエ製法(saignee)が良いかとゆうと一概には言えません。葡萄品種によってはえぐ味が出すぎたり味わいのバランスを欠いてしまう危険性もあります。品種や作柄に合わせてプレス製法セニエ製法(saignee)を使い分けたり組み合わせたりしています。美味しいロゼワインを作るには手間暇がかかっているわけですね。




ロゼワインを飲むときは何か幸せな気持ちになりますね。
ちなみにrosé(仏語)ですが英語ではrose(ローズ)薔薇ですね。

またまたちなみに薔薇全般の花言葉は「愛」「美」だそうです。

しかしピンク色の薔薇の花言葉は...
「grace(しとやか、上品)」「gratitude(感謝)」「happiness(幸福)」
だそうです。

やっぱり幸せになれるワインなんですね!



皆さま良いゴールデンウィークを!
Bonnes vacances à touts


それでは皆さま a la prochaine fois !






2017年4月19日水曜日

J'aime Sud de France

J'aime Sud de France (I Love South of France)
Sud de France、直訳すると南フランスですが、ラングドック・ルーション地方のワインや農産物、魚介類、フルーツやハチミツ、塩やハーブなどこの地方の特産品を世界に広めるためにフランス政府商務部が展開するマークがSud de Franceです。この地の特産品にはこのマークが付けられます。

私はこの地のワインを愛してやまないのですが実はこの地方はワイン意外にも見所が沢山あります。

世界遺産に登録されている「ポン・デュ・ガール」や「ミディー運河」を始めラルザックの山々、ピネネー山脈やカルカッソンヌの城壁の街シテ、美しい地中海の海岸線や海に浮かぶ島セートなどなど...



食べ物でも沢山の名物料理があります。特にセートのそばトー湖で養殖される牡蠣は通年食べることができるこの地を代表的する海の恵みです。地元の人たちはこの牡蠣にピクプール・ド・ピネというワインを合わせるのですが私はいつもロゼでいただきます。



気候も「地中海性気候」で冬には多少雨が降りますが、年間平均で晴天日が300日と言われるほど天候に恵まれた土地でもあります。春から秋にかけては気温も高いのですが乾燥しているためカラッとしていてとても過ごしやす土地です。乾燥して空気中の水分量が少ないため空も海も青々とした色合いを放ち、山々もくっきりとしたシルエットを見せ素晴らしい景観を作り出します。

7月からのバカンス時期にはフランス全土から人々が訪れます。ここにバカンスにくる人々はフランス人が多いのが特徴です。お隣のプロヴァンスのコート・ダジュールはイギリス人や北欧からの外国人が多く訪れます。同じ地中海のバカンス地でも趣向が違うようです。

バカンスの過ごし方も皆様々なスタイルで長い休暇をゆっくりとリラックスして過ごしています。フンラスでは観光地や人の集まる場所には沢山のキャンピング場があり家族でキャンピングカーでやってきて数週間過ごしたりしています。

私は以前買い付けのため30日間過ごした際にはレジデンスと呼ばれる週や月単位で借りるアパートのような宿泊施設があり、そこで過ごしました。目の前は地中海が広がり部屋には生活するために必要な設備がほとんど揃っています。キッチンや冷蔵庫もあるので市場やスーパーで食材を買ってくれば自分で調理できます。フランスですから肉も野菜もチーズも驚くほど安くて旨いものが沢山手に入ります。しかし私の場合は買い付けで来ていたので朝と夜しか部屋では過ごしませんでしたが部屋でゆっくり海を眺めながら1日過ごしても最高だと思います。しかもこのレジデンスはホテルよりずっと安く借りられます。



美しい景観。
素晴らしい環境。
美味しいワインと美味しい料理。
ゆっくりとリラックスした時間。

これ以上何が必要でしょうか?

これまでも、これからも大好きなこの場所で大好きなワインをより一層楽しめたら幸せですね〜!これからはワインも勿論ですがそれ以外のこの地の魅力を皆様にお伝えできればと思っています。

J'aime Sud de Franc
J'aime Languedoc Roussillon


それでは皆さま a la prochaine fois !





2017年3月29日水曜日

PIERRE CROS, UN HOMME LIBRE !

ピエール・クロ。何とも自由な造り手です。南フランスラングドック地方、ミネルボワの西Badens(バダン)で独創的なワイン造りをしています。バダンは城壁で有名なカルカッソンヌから東へ15キロの位置にあります。


土地もテロワールも独特ながら造り手自身が非常に個性的であり唯一無二のオリジナリティーを持ちます。ピエール・クロは元ラグビー選手、カルカッソンヌの一部リーグで活躍した経歴を持ちます。

初めてこの蔵を訪れたのが2006年、まだ現在のラインナップよりは少なかったのですがトップキュヴェのレ・アスプレ(Les Aspres)を含む4種類位を輸入しました。このレ・アスプレがピエール・クロを一躍有名にしたワインです。驚異の低収穫量(15hl/ha)でとてつもない凝縮感が詰まったラングドックの中でも銘嬢ワインの一つです。

このレ・アスプレはフランスの著名ワインガイド、ル・ギド・アシェット(Le Guide Hachette des vins)で過去8回ものク・ド・クール(coup de cœur)に選ばれました。そのことから名実ともにミネルヴォワの偉大な生産者の一人として知られるようになりました。



しかし本人は商業的な行為や売名のための行動を嫌い、様々な雑誌やワインコンクールで数多くの受賞経験があるにもかかわらずそれを自慢したりボトルにメダルを貼り付けることを拒否する変わり者です。本人曰く

私のワインにマカロン(メダル受賞シール)はいらない。 私は先祖から継承した素晴らしい土地を愛し、テロワールを感じ、理解するだけ。

周囲に変人扱いされたり違反として訴訟を受けたり、特に嘲弄され、栽培組合から差別されたとこでどうってことはない。
大事なのは自分を信じ信念を貫き通すことにある。



当然作り出すワインのラインナップも型破りなものが多くヴァン・ド・フランス・リベルテ(自由なワイン)シリーズではその本領を発揮しています。

この地の古典品種で今ではほとんど栽培されていない品種を植えてみたり、イタリアやポルトガルの品種を植えてみたりと独創的です。

古典品種で言えばアラモン(Aramon)、ピクプール・ノワール(Picquepoul Noir)、モラステル(Morrastel)、リヴァイランク(Rivairenc)などなど...
またネッビオーロ(Nebbiolo)、トレガ・ナシオナル(Touriga Nacional)など他国の品種などを植えています。私の何でこれ植えてるの?という質問にあっさり”好きだから”との答えでした。



今年の一月の買い付けの際、久しぶりに再会しフルラインナップで試飲してきました。トップ・キュヴェのレ・アスプレはもちろんのこと古典品種で2011年から作り出したパルトゥーズ・ロゼ(Partouse Rose)、樹齢100年越えのカリニャンをメインに作るレ・マレーム(Les Mal Aimes)などなど、どれも個性豊かなワイン達に触れることができました。その味わいは10年前よりかなり深みが感じられました。この人のピーク時期なのかもしれません。



今回この個性豊かなピエール・クロのワインで6本セットを組みました。5月8日に東京港に入港します。どれも個性豊かで飲んでて楽しいワインばかりです。今から到着が楽しみです。しかし自分の分はないんだろうな〜きっと!


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iDEALE Direct Vol17 Domaine Pierre Cros (Badens en Minervois)
・V.D.F Rose Partouse (Rose)
・V.D.F Liberte Chardonnay (Blanc)
・Minervois Les Costes (Blanc)
・V.D.F Liberte Touriga Nacional (Rouge)
・V.D.F Les Mal Aimes (Rouge)
・Minervois Vieilles Vignes (Rouge)
※ Minervois Les Aspres (Rouge)
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※は6本セットの中には含まれておりません。

それでは皆さま a la prochaine fois !









2017年3月22日水曜日

La Table Conviviale!


ワインを美味しく楽しむ秘訣は何でしょう? 
薀蓄?
知識?
経験?
料理との相性?
飲むシチュエーション?
誰と飲むか?

人によって楽しむポイントは様々です。ワインありきの方もいらっしゃいますし、薀蓄、知識が重要と言われる方もいらっしゃいます。味の好みも様々なように楽しむポイントも様々ではないでしょうか。

私は年に数回ワインを買い付けにフランスに行きますが特に9月の買い付け時の楽しみがワインを美味しく楽しむことを実感できます。

ご存知のように9月はワイン作りにおいて一年で最も重要な収穫の時期です。蔵によって様々ですが収穫は大体二週間から三週間で行われます。

午前中から畑に出てお昼をはさんで大体午後3時から4時頃まで行います。私が行く蔵は機械など使わず全て手摘みで収穫しますのでそれなりの人数が必要になります。

家族や関係者以外、摘み手のほとんどはスペインやイタリアからの季節労働者の方々がキャンピングカーに乗ってこの時期だけやってきます。(南の産地なので)

収穫時期には労働者の方々に蔵元が食事を用意します(もちろんワインも!)蔵の中や畑の脇に長いテーブルをしつらえ様々な大皿料理を用意します。皆労働した後の食事を楽しむのですが知らない者同士がテーブルを囲んで同じ料理を食べるわけです。

最初はぎこちないのですがワインを飲み交わすうちにいつの間にか仲良くなってワイワイしながら楽しむようになります。

知らない人との出会いは自分の世界観を広げてくれることでもあり、歓びでもあります。人生において人との出会いほどワクワクし楽しいことはないでしょう。一人また一人と知り合いが増えていくことは自分の人生をより豊かにしてくれます。

私は何度かのこの経験を通じて深く思いました。ワインは楽しさや歓びを分かち合って飲むことが最高に美味しく飲めるのではないかと!

もちろんワインの質を見極めたり熟成度合を考えたり、提供温度や相性の良い料理を用意したりすることは大事ですが、飲む時に楽しくなければ全て台無しです。

良い出会いがあって、楽しみ歓びを分かち合う。それを繋げてくれるのが美味しいワインであるのではないかと考えます。

La Table Conviviale!(フレンドリーテーブル)
これこそワインを美味しく飲む秘訣だと思います。

それでは皆さま a la prochaine fois !















2017年2月7日火曜日

Chef étoilé du Languedoc d'aujourd'hui

不思議な縁はあるものです。数十年前ラングドックにはそれほど有名なレストランはありませんでした。先に紹介したモンペリエのプーセル兄弟のジャルダン・デ・サンス位なもので同じ南仏でもプロヴァンスと比べるとガストロノミーなレストランは少ないという印象でした。

そんな中私がこの土地の魅力にとりつかれていた頃、雑誌で気になるレストランを見つけました。場所はBeziere。いつか行きたいなと思いながら月日が流れました。

ある日たまたまYoutubeで発見したシェフ。何か見覚えがあるな〜と思いながら見ていると急に記憶がつながりました。あの時雑誌で見たシェフではないか!

彼の名前はPierre Auge、今では若手スターシェフの一人です。そのうえ前回のイデアル・ディレクトでご紹介したValjuliusのJulienの親友だという。これは何かの縁だ!と勝手思い込み今回訪問したいと思いJulienに話しました。彼はもちろん私の申し出を受け入れてくれて今回の滞在中に一緒に行くことになってたのですが、3日当日Julienが風邪でダウン!

Julienには悪いけどPierre Augeの料理を是非食べてみたかったので自分一人で店に向かうも満席で無理!目の前にご馳走があるのみ食べられない犬のような。

後でJulienに聞くとラングドックのみならず各地からお客が来るそうな。彼のコンセプトはガストロノミーな料理をビストロのような気軽さで提供するとゆうもの。先に訪れたプーセル兄弟の新店舗も同じコンセプトで高級料理の味わいを気軽に広く提供するという考え方です。そりゃお客が集まるわけです。

後ろ髪を引かれながら今回は諦めましたが次回は必ず行ってやる。今回結構楽しみにしていたイベントだったので本当に残念でした。

Pierre Auge

La maison de Petit Pierre

Plat de pierre Auge

皆さんもBeziereに行かれる際には是非
http://www.lamaisondepetitpierre.fr/


                                      それでは皆さま a la prochaine fois !








2017年2月5日日曜日

Déclin pas un défi à l'esprit..


Alain Caulolle(アラン・コージョル)いつまでも衰えない人だ!Domaine des GreCaux(ドメーヌ・デ・グレコー)でワインも名声も確立したにもかかわらず新たな挑戦に打って出た。アランとは長い付き合いで私と年もそんなに離れていない。

数年前一通のメールが来て「新しいドメーヌ作る」と!「?」聞くとそれは理想のワインを造るため今までの場所を離れるということ。「ますます?」長年の「?」を解消すべく彼の新しいドメーヌに向かった。サロンで試飲はしたのだが今までのスタイルとは全く違う。これは絶対なんかある!

向かった先はTerrasses du Larzacの北の山の上。住所を頼りにいつもの道を進むと今まで向かったことのない方向へ。これ山の中じゃないの?登ること15分、霧で視界が悪くなり始めてからすぐに前方5mしか見えない濃霧の中ひたすら走り30分。ずっとエンジンが唸ってると思ったら標高700mのサインが見える。とんでもないとこに作ったなと思いつつも濃霧の中のドライブが続く。

Oh la la!


やっとの思いでたどり着いたところは今までの世界とは全く別世界の土地。何で?という私の質問にこのワインを造るにはここしかないんだよと誇らしげにワインを出してきた。

なるほどLarzac山脈の中に畑を作ったわけだ!チャレンジャーだね。あいにく霧がひどく景色がほとんど見えなかったのですがここからの景色は絶景らしい。

一通り試飲して気候が作り出す味わいを納得。なんかより一層ピュアな方向に行ってるね。個人的な部分もあってか数年前より若々しくなってるし。この人もともと冒険家で聞くと今までの経緯が面白すぎる。根っからの冒険好きなんだな。人生は冒険を地でいく感じ。

醸造所を新たに建てる時も藁を使ってみたりとにかく話題に事欠かない。



肝心のワインはというと一言で言うと「ピュア」な味わい。葡萄そのままの味わいが表現されていて余計なものを一切取り払った感じです。作った旨みではなく自然の滋味のような旨みが詰まった味わいです。もうず〜と飲んでいたい味わい。試飲のつもりでもつい飲みたさにかられる。ここで飲むと帰りの濃霧の運転が危ないからと我慢しましたが...

Coules

アラン・コージョルの新たな世界観を垣間見ました。しかし次に来る時は春か夏にしたい。

それでは皆さま a la prochaine fois !

continue pour prochaine génération...

時代は変わります。時間の経過とともに次世代に引き継がれていきます。1984年からラングドックでヴィオニエの未来を切り開いた先駆者ミシェル・モロー。彼の功績と葡萄という財産は息子のオリヴィエと彼の妻マリオンに引き継がれます。

今回息子のオリヴィエとは初めて会いましたが温厚で柔らかい物腰、控えめながら芯の強さを持つお父さんに似ていました。まだ若いながら彼の可愛らしい奥さんマリオンと一人娘が彼のモチベーションに一役買っていることは間違いありません。



オリヴィエは30歳、マリオンはまだ28歳。私から見れば息子、娘の年代で見ていて可愛らしいやら微笑ましいやら二人を見ているとなんとも幸せな気持ちにさせてくれます。

話を聞いてみると今時の若者らしく型にはまらず元気一杯です。私が一輸入者として客観的にお父さんのワインの話をしていると興味深く聞いていました。多分彼のは生まれた時から当たり前のようにお父さんの仕事、ワインを見てきているわけですから私の意見は新鮮だったのではないでしょうか。「あなたのお父さんは偉大な生産者なんだよ」みたいなことはあまり外から聞かないのでしょう。

彼の素直で明るい性格からして後々その偉大さがわかってくると思います。私もおせっかい心から「誰々と会ってみな」「ここのワイン飲んでみな」的なことを言ってしまいました。(どうやら私のことはFBでチェックしているらしい)

まだ実質的な采配はミッシェルが行っているようですがいずれオリヴィエがのそ役を担うわけでいずれ引き継がれていくわけですね。

二代目とか三代目とか歴史があればあるほど引き継ぐものの重圧がかかってくると思うのですが、所詮同じことはできないわけです。歴史や文化など本人が本人らしく解釈し本人らしく表現すればいいのです。親父と俺は違うからと与えられた財産の中で自分らしさを出していけばいいのです。

私はいつも思いますが好きになったワインはイコールそれを作る生産者が好きになるわけで別に土地でも葡萄でもないわけです。なのでミッシェルが引退したらミッシェルのワインは終わる訳す。それでいいんです。試行錯誤はあると思いますし、なければダメだしそれを繰り返しているうちにこれが「オリヴィエ・モローのワインだ!」っていうときが必ずやってきます。その時にはおじさんにも飲ませてね。aller Olivier!


Clapas 2015

Clapas 2013C'est magnifique!

追記:Michal Moreau作 Cuvee Clapas2013涙が出るほど旨いです。写真の通りリミテッドです。

それでは皆さま a la prochaine fois !











2017年2月4日土曜日

Le beau vin par une belle passion ...

「美しいワイン」多分この表現が一番合っている気がします。VINISUDで私の中で勝ち残ったワインの一つです。ラングドックでも北にあるニーム近郊のワインですがラングドックでもありローヌでもある微妙な位置にあります。わずか4.5haの小さな蔵です。若い生産者が志を抱きワイン造りをしています。

場所は世界遺産に指定されている「ポン・デュ・ガール」近郊にあります。VINISUDで試飲を終えて造り手のブースに訪問すると美しく若い女性が一人「?」...

「このワインはあなたが作ったの?」と思いながらこのブースを訪れた理由を話しました。ワインや土地のことを話している彼女の目には志の高い情熱が宿っていることが感じられました。

多分突然来た日本人に焦ったのか説明が若干早い!急に行ったこっちも悪かったけど慣れてない感じがひしひしと伝わってきます。焦らせてゴメンね。

その日の夜どうしても彼女のワインが頭から離れずすぐにメールして「畑を見たいんだけど」と伝えると10分もしないうちに返事が来ました。まだVINISUDが最終日で自分はいないけど両親がいるから是非と返事が来ました。

訪問するとご両親が迎えてくれました。お父さんも娘のことを思ってかよくしゃべるけど若干説明が早い!「娘さんいいワイン作ってますね」って娘を思う親同士の会話みたいになりながら畑を視察。なるほどあの味わいはこれか!ってお父さんと盛り上がる。聞くとお父さんは長年有機栽培で野菜や果物を作ってきた方で娘がワイン造りをしたいというので応援しているそうな。一方のお母さんは農業はもうまっぴらと言わんばかりに今までのいきさつを話されていました。(これも話が長い)

聞くと某ミシュランの星付きのレストランに採用されているらしくその品質は認められているようです。センスもありますが志の高い情熱が旨いワインを作り出すのは今も昔も同じだってことです。そのパッションいつまでも持続してね。きっと伝わるから!

Bon champ

Je suis impatient d'est prêt

             それでは皆さま a la prochaine fois !






2017年2月2日木曜日

Goût fait Tsu par pierre

前日サロンVINISUDで1200本試飲したので現地訪問が1日早く可能になりました。やっぱり現地、現場を見ないと納得できないので見てきました。行った先は南ローヌのリラック(Lirac)です。モンペリエから約100キロ、南ローヌ中心地アヴィニヨンの東に位置するローヌでも知られた産地です。
南ローヌは好きな産地の一つでもあるのですがグルナッシュをメインに仕込む甘美な味わいの赤ワインは産地ならではのオリジナリティーがあります。今年のイデアル・ディレクトの中に入れたいと思っていました。

この蔵に行き当たったのも1200本の中の一つでした。スタンドで話をし、確信したのでその場で「明日行きたいんだけど」と頼み訪問してきました。この地のワインは何と言っても畑に転がる多くの石!畑一面ビッチリと敷き詰められた石の様子は圧巻です。

La Vigne
この産地はこの石が肝で、日中の日射を浴びた石が夜に放熱し葡萄の熟成が進むわけです。そのためワインにした時に甘美で完熟感をまとった味わいになります。この土壌は有名なアヴィニヨン近辺のシャトー・ヌフ・デュ・パープからニームあたりまで続きます。昔ローマ教皇庁がアヴィニヨンに置かれたことが起源に教皇庁近辺で栽培されるワインが重宝され今の名声に繋がっています。それがシャトー・ヌフ・デュ・パープ(教皇の新居)であったことから南ローヌの代表的なワインとなり現在に至っているわけです。私も南ローヌの産地をくまなく見てきましたがアヴィニヨンからニーム近辺までほぼ同じ土壌でローヌ河の左右でもそれほど土壌の違いは見うけられませんでした。ただしミクロクリマ(微気候)は違います。

Les pierres



私の癖なのかもしれませんが名前だけの〇〇が嫌いなのでどうしてもシャトー・ヌフ・デュ・パープは敬遠しがちです。シャトー・ヌフ・デュ・パープが悪いと言ってる訳ではありません。名声があるとそれに乗っかって「高くてまずい」ワインが出回ることも事実なのです。あくまでも個人的見解ですので...

話を戻します。このドメーヌ(内緒です)久しぶりに見っけちゃいました。私は渡仏前にイデアルの実質的な黒幕(オーナー)から見つけた蔵の名前をパブリックに出すなと釘を刺されているので名前は明かせませんがいい蔵です。

作り手に会って、畑を見ながら色々と話を聞いたのですが間違いなく価値ある生産者であり紹介したいワインです。詳細を書くとまた怒られるので書きませんが多分5月頃の入荷を画策しております。

醸造施設が素晴らしく、モダンでスマートな職人気質な方でした。私も初めて見ましたがオーク樽のロールスロイスと称されるSeguin Moreau(セガン・モロー)の最上級の樽を使ってました。この中で熟成されてるワインも入れてたいですね。それは私の今後の交渉にかかってくるわけです。皆様のために頑張ってみます。
secret...

cuvée béton

futé de chêne de superlatif

それでは皆さま a la prochaine fois !



ガラパゴス

 価値観は人それぞれ違う。時代によっても違ってくるはず。私は昔、無知でどうしょうもない上司に的はずれな事を散々言われて嫌気がさした事があったな〜という事を思い出した。 こういった人の根本的な原因は何なのかなと考えた結果、情報がアップデートされてないんだろうなと思った。昔から持って...